2021.06.15
JA秋田たかのすでは県内で珍しい夏セリの定植が北秋田市綴子の田子ヶ沢集落ではじまった。同集落は、山からの伏流水と夏場でも高温を遮る立地条件が重なり、夏場から露地物のセリを栽培できる県内でも珍しい産地。独特の香りとシャキシャキとした歯応えが特長。現在は4農家が苗代を転用して栽培している。夏セリの収穫は7月初旬から9月頃まで続く。
15日、定植を開始したのは同JAセリ部会長を務める斎藤光幸さん(71=同集落)。昔ながらの手植えで植えたおよそ4万本の種セリが圃場を彩った。他の産地では珍しい手植えによる定植作業は田子ヶ沢ならでは。定植用の種セリは前年に播種し越冬した親株の茎を10㌢ほどに切ったものを使い、3本1株を泥の中へ密植する。
手間が掛かるが根がしっかり活着し、密植することで互いに競り合いながら真上に伸びていく。このあとも安定的な収量を確保できるよう、隣り合う圃場に順次定植しながら、同じ圃場で収穫・定植を4回ほど繰り返していく。同集落では立地条件を生かし古くからセリ栽培が盛んに行われてきた。
40年ほど前は20近くの農家が年間1.4㌧を生産していたが、現在は後継者不足や生産者の高齢化により4農家、生産量は当時の半分以下にまで減少。斎藤さんをはじめ農家は「産地を維持するため、伝統野菜を絶やさないためにJAと連携しながら担い手の確保、セリの魅力を発信していきい」と話す。